藤田 清貴准教授らの研究グループはカラメルに含まれるオリゴ糖を分解する酵素を口腔内ビフィズス菌から発見
食料生命科学科
応用糖質化学研究室の藤田清貴准教授らの研究グループは東京大学、理化学研究所、新潟大学、大阪大学のグループと共同研究を行い、口腔内から単離されたビフィズス菌である
Bifidobacterium dentiumから、DFA Iのα-フルクトフラノシド結合を加水分解してイヌロビオースという二糖を生じる酵素「DFA Iシンターゼ/ヒドロラーゼ」とその遺伝子を発見しました。
本酵素はイヌロビオースからDFA Iを作る逆反応を約90%の効率で行いますが、菌体内では10%の効率で作られたイヌロビオースを逐次的にフルクトースに分解されると推定されました(図上)。また、X線結晶構造解析法により本酵素の立体構造を明らかにして、DFA Iやイヌロビオースが結合するポケットのようすから、触媒反応がどのように起こるかを詳細に明らかにしました(図下)。
本研究により、DFA Iシンターゼ/ヒドロラーゼはこれまでに知られている酵素とはアミノ酸配列が全く異なることが明らかになったため、糖質関連酵素の分類を行っているフランスのグループと協議を行った結果、新しい加水分解酵素ファミリーであるGH172が新設され、そこに分類されることになりました。
藤田先生の研究の様子は、こちらの
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この研究成果は、米国科学雑誌「The Journal of Biological Chemistry」に掲載されました。

(図上:B. dentiumにおいて推定されるDFAI分解メカニズム)
(図下:DFA Iシンターゼ/ヒドロラーゼの立体構造と反応が起こるポケット)