喜界島の在来カンキツ「ケラジミカン」
「南西諸島の在来カンキツに関する研究」(果樹園芸学研究分野)
南西諸島には自生のシィクワーサーや導入種のクネンボ、それらの偶発実生として発生したカーブチー等種々の在来カンキツが生育しています。これらの遺伝的背景を解明するとともに、それら特性についても研究しています。その結果、在来カンキツには機能性成分が非常に多いものがあること、独特の香り成分を備えているものがあることがわかりました。これらの成果は、地域の遺伝資源素材を活かした食品開発の基礎データとしても利用されています。
DNA分析によるカンキツの識別・分類
「カンキツ遺伝資源の収集・分類」(果樹園芸学研究分野)
カンキツは世界で最も生産量の多い果樹です。各地で様々な種類が栽培され、形態的な多様性にも富むため、その正確な分類は極めて困難でした。本研究では、海外の在来・自生カンキツを供試して、形態的特性だけでなくDNA分析によって、多数のカンキツの類縁関係の解明や分類を実施しています。
カンキツにおける花柱内の花粉管
不稔性花粉
「カンキツにおける無核性機構の解明」(果樹園芸学研究分野)
カンキツにおいて無核性(タネ無し)は、極めて望ましい特性です。無核性は生殖器官の不稔性によって発現しますので、雄性・雌性不稔性、自家不和合性と種子数との関係を解明し、安定的な無核性果実生産技術の開発を目指します。
タンカン(左)とポンカン(右)
「カンキツの開花・結実に関する研究」(果樹園芸学研究分野)
鹿児島県の特産カンキツであるタンカンやポンカンを中心として、高品質果実の安定生産を達成するため、それらに関連する種々の条件について検討しています。
カンキツ染色体の蛍光染色像
「果樹の染色体解析」(果樹園芸学研究分野)
染色体は遺伝子の担体であり、その研究は育種・遺伝・ゲノム研究と密接な関係にあります。カンキツ、ナシ、パインアップル、アセロラおよびタヤ(ドラゴンフルーツ)を主な材料として、染色体識別法の開発や育種、分類への適用を行ってきました。特にナシでは主要病害の黒斑病抵抗性関連遺伝子の染色体上での位置の検出に成功しました。
フローサイトメーターによる倍数性検定
「果樹の倍数性育種」(果樹園芸学研究分野)
カンキツ、アセロラ、パッションフルーツを主な対象として、大果または三倍体育種の親となる四倍体および無核性となる三倍体の作出を種々の方法によって実施しています。
「アボカドのミクロ繁殖技術の確立」(果樹園芸学研究分野・熱帯果樹園芸学研究分野)
日本で消費されるアボカドのほとんどは輸入品で、国内での安定生産が待望されています。しかし、アボカドにおいては栽培の基本となる苗木生産に種々の問題があります。この解決のため、ミクロ繫殖技術の利用による安定した苗木生産技術の確立を目指しています。
湧水町のアーモンド園
「アーモンドの安定生産条件の解明」(熱帯果樹園芸学研究分野)
アーモンドは地中海性気候に適した果樹ですが、国産アーモンドの需要が高く、国内での生産が期待されています。高温多湿の鹿児島で安定したアーモンドが生産できる条件を解明することを目的としています。
アボカドの開花
「アボカドの安定生産条件の解明」(熱帯果樹園芸学研究分野)
アボカドは近年極めて注目されている亜熱帯果樹です。しかし、我が国では栽培の歴史が浅いため、安定した果実生産技術はまだ確立されていません。本研究は冬の耐寒性と果実生育期間の適切な環境条件の解明を目的として実施しています。
低温要求量の少ない品種(右)は2月に満開となる
「少低温要求性モモ品種の鹿児島における栽培特性」(熱帯果樹園芸学研究分野)
近年の温暖化により、鹿児島県では落葉性果樹の栽培が困難になりつつあります。本研究では、低温要求量の少ないモモ品種について、発芽や開花,果実品質に及ぼす影響を調査しています。
指宿植物試験場で栽培されている在来系統
「ライチの在来系統に関する調査」(熱帯果樹園芸学研究分野)
鹿児島県では古くからライチが栽培されており、身近な果樹の一つとなっています。本研究では、ライチの在来系統とその他の品種との類縁関係について調査を行っています。
Research Interests