研究内容

主な研究テーマ

サンセベリア炭疽病菌の病原性因子(宿主特異性因子)に関する研究

サンセベリア炭疽病菌の病原性因子(宿主特異性因子)に関する研究

1996年に与論島で発生した病害で、新種の炭疽病菌によって引き起こされることが判明しました。病原性は非常に強く、サンセベリア属の植物にしか感染しません。サンセベリアは、病気に強い植物なのですが、なぜこの菌が宿主にサンセベリアをあえて選んだのかは不思議です。そこで、サンセベリアのみに病気を起こす原因を明らかにするため、宿主特異性因子を探索しています。

炭疽病菌には、同じ仲間なのに、ウリにしか病気を起こさないものとか、ネギにしか起こさないものとか、病気を起こせる植物が限られている(宿主範囲)ものが多く存在するんだって。でも、なぜ同じ仲間なのに、宿主範囲が違うのかは、理由がまだ分かってないんだってさ。カビにも好き嫌いがあるんだね。

ゆいポイント

白かび病菌の分泌するポリガラクツロナーゼ(PG)タンパク質の病原性決定構造の解明

サンセベリア炭疽病菌の病原性因子(宿主特異性因子)に関する研究

白かび病菌は、主に柑橘果実に腐敗症状を示すカビですが、病気を引き起こさない菌株が存在します。これまでの研究で、腐敗症状にはポリガラクツロナーゼ(PG)と呼ばれるペクチン分解酵素の1種が必要であることを明らかにしました。しかし実は、このPGは、非病原性株にも存在しています。非病原性株由来のPGは、柑橘のペクチンには作用しません。ではなぜ、同じ種類の酵素でありながら、基質特異性が異なるのかとても興味深いところです。そこで、この特異性(病原性)の違いを立体構造学的にキメラタンパク質を作出して、解明しようとしています。

PGは、病原性因子でもあるけれど、食物繊維であるペクチンを分解できるから、僕たちの身近にある洗濯用洗剤にも使われているんだよ。酵素パワーって聞いたことあるでしょ。それ以外にも、リンゴジュースを透明にする時にも使われてるよ。

ゆいポイント

アブラナ科黒腐細菌病菌・トマト斑点細菌病菌のアラビノフラノシダーゼに関する研究

アブラナ科黒腐細菌病菌・トマト斑点細菌病菌のアラビノフラノシダーゼに関する研究

本研究は、当大学の先生(応用糖質化学研究室)により新規のアラビノシダーゼ(糖質分解酵素)がビフィズス菌から世界で初めて発見されたことにより始まりました。ビフィズス菌から発見された新規の酵素が、面白いことに植物病原細菌では、アブラナ科黒腐病細菌およびトマト斑点病細菌が属しているXanthomonas属細菌にのみ存在していることが分かったのです。 さらに面白いことに、この酵素の基質は、自然界では、植物の細胞壁にのみ存在しています。以上のことから、本酵素とXanthomonas属細菌の病原性との関わりに非常に興味が持たれます。現在、本酵素の機能解析と病原性解析を進めています。

植物病原細菌には、Xanthomonas属以外にもたくさんの属があるのだけれど、どうしてXanthomonas属細菌だけにこの酵素が存在しているのかとても不思議。きっと大昔に、ビフィズス菌とXanthomonas属細菌との間に、遺伝子のやり取りがあったのかな???ところで、病徴写真にあるシロイヌナズナ(雑草)とマイクロトム(トマト)だけど、この2つの植物は、室内で簡単に栽培できて、種を採取するまでの期間がとても短いんだよ。だから、研究では実際の作物を使う代わりにこんなモデル植物を使って実験を行うことが多いんだよ。植物版マウスって感じかな。マイクロトムは、僕みたいにとっても小さくて、背丈は10cmぐらいかな。実も直径1cmぐら。とってもかわいいの。あまり美味しくはないけどね(笑)

ゆいポイント