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学部長メッセージ


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農学部長

山本 雅史

 鹿児島大学農学部の前身の鹿児島高等農林学校は明治41(1908)年に設置され、翌年に開校しました。明治42(1909)年に高隈演習林、大正5(1916)年に唐湊果樹園、大正7(1918)年に指宿植物試験場を開設し、100年以上に渡り南九州から南西諸島域までの幅広い地域における農学に関する教育研究の拠点として活動を続けてきました。高等農林学校設置は日露戦争から3年後であり、当時の南方資源開発が開校の大きな目的の一つでした。その後、現在まで大学を取り巻く状況は大きく変化しましたが、いつにあっても鹿児島大学農学部は、その時代だけでなく未来を見通して、地域や世界の課題解決に関する教育研究に取り組んで来ました。
 21世紀も今年で1/4を過ぎましたが、社会状況は年々混迷の度を深めています。気候変動(地球温暖化)や国際的紛争、日本における少子高齢化などは食料供給の不安定化や農業従事者不足のように直接農林食産業に関わる大きな問題であり、これらの解決に資する人材育成や教育研究の推進が必要です。
 そのため、鹿児島大学農学部は令和6(2024)年度に大幅な教育組織改革を実行し、従来の3学科制を1学科4教育プログラム制としました。その結果、学生がそれぞれのキャリアプランに基づいた履修ができることとなり、現場重視の教育と高度な学問的知見・技術との融合を図ることが可能になりました。これらによって、農林食産業全体を理解する農業総合力と専門性を兼備するだけでなく、既成概念に捉われない思考による新たな価値の創造やビジョンの形成、先進的視点と新技術を駆使して課題解決ができる人材の育成を図ることを目的としています。
 研究面では、特に現在世界が求めている持続的な社会の構築を目指し、食料生産力向上、食と安全、生物多様性、島嶼や環境問題に取り組むことが重要だと考えます。気候変動(地球温暖化)に起因する問題解決に関する研究も重要です。さらに鹿児島県は農林食産業が基幹産業であり、温帯から亜熱帯、また高山では冷温帯の気候が分布する自然が極めて多様な地域です。さらに、地熱や温泉などの自然エネルギーにも富んでいます。農学部では地域のこれらの特徴を積極的に活かした教育研究を進めることによって地域だけでなく世界にもその成果を還元することを目指します。

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