研究の内容

本研究室では、主に体細胞クローニング、体外受精および顕微授精の効率化と、それらの技術を用いた家畜生産システムの確立を目的とした研究を行っています。

体細胞クローニングとは

体細胞クローニングとは、除核した未受精卵に体細胞の核を移植することにより、クローン動物を作出する技術です。体細胞クローニングは、優良個体を複製できるばかりでなく、特定の遺伝子を導入あるいは欠失した遺伝子改変動物の作出にも有用です。

未受精卵の核を体細胞の核と入れ替え

内径15 μmの細いガラス管を操作して、未受精卵の核を体細胞の核と入れ替えます。

胚盤胞

体外で1週間培養すると、着床直前の状態である胚盤胞にまで発生します。

遺伝子改変ミニブタ

遺伝子改変した体細胞を用いて作出したクローン胚を仮親に移植することにより得られた、遺伝子改変ミニブタです。

体外受精とは

哺乳動物の受精は、雌性生殖器内で進行します。この過程を体外で再現する技術が体外受精です。体外受精は、受精機構の解明に有用であるばかりでなく、優良家畜の増産、希少動物の救済および不妊治療にも用いられています。

凍結融解精子を媒精中のウシ卵子

凍結融解精子を媒精中のウシ卵子です。

家畜の卵子は脂質を多く含んでいるので、固定・染色後に受精状況を観察します。これは、ブタの正常受精卵です。

ブタの正常受精卵

体外培養後に得られた、ブタ脱出胚盤胞です。

顕微授精とは

顕微授精とは、1個の卵子の細胞質内に1個の精子を注入することにより、受精卵を作出する技術です。顕微授精を用いれば、運動能力を失った精子や精子細胞に由来する産子を得ることも可能となります。そのため、希少動物や野生動物の保護および男性不妊症の治療に有用です。

未受精卵の細胞質内に1個の精子を注入

内径5.3 μmの細いガラス管を操作して、未受精卵の細胞質内に1個の精子を注入します。

顕微授精の鹿児島黒ブタ

食肉センターに提供していただいた屠畜卵巣から採取した卵子に精子を顕微授精することにより得られた、鹿児島黒ブタです。