研究内容・テーマ

研究の背景および目的

食品の健康増進機能や安全性を単一の手法や対象で評価することには限界があり、しばしば反映しないことがあります。そのために、より多方面・網羅的な評価手法の開発が求められています。

本研究室は、食品の健康増進機能・安全性を試験管から細胞・タンパク質・遺伝子を経て実験動物・ヒトに至るまで網羅的に評価するシステム(①~4)を構築しています。これらの評価システムを用いることで、食品の機能性・安全性および作用機構を解析し、安全で健康増進機能を持つ食品の開発に応用できます。

主な研究内容

研究テーマ

1.培養細胞やヒトゲノム情報・技術を用いた食品機能性の作用機序の解明
~がん予防効果、ファイトケミカルの機能と構造相関~

ヒトや動物の培養細胞を用いて食品に含まれる機能性成分の抗酸化能、抗炎症能、解毒酵素誘導能、がん細胞増殖抑制能およびアポトーシス誘導能などを探索しています。特に、ファイトケミカルであるポリフェノールの機能と構造活性相関を明らかにするために、化学的手法を用いた構造改変なども行っております。また、ヒトゲノム遺伝子情報・技術によって、食品の機能を検出できるシステムを構築しています。さらに、このシステムを用いて特定の病気を予防する機能性食品の開発および食品の安全性を科学的に評価しています。

2.実験動物ならびにヒト介入試験を用いた食品の機能性の検証
~NASH予防、腸内細菌の改善、炎症抑制効果~

食品の健康維持機能について、ポリフェノールをはじめ、ニンニク成分や難消化性糖など、抗酸化能を持つ食品成分による健康維持機能について実験動物ならびにヒト介入試験を用いた解析を行っています。また、非アルコール性肝炎(NASH)の予防効果や抗肥満効果、腸内細菌の改善や炎症抑制効果について研究しています。さらに「食と健康」の領域から地域社会への貢献をめざしており、現在、鹿児島地域の食材(黒野菜、黒豆、黒米、黒酢など)の機能性を活かし、鹿児島ブランド”黒”をモチーフとした黒膳弁当の開発・研究も行っています。

研究の流れ

実験動物ならびにヒト介入実験による効果の検証