研究(代謝)

骨格筋と脂肪組織におけるβ2アドレナリン受容体の作用機序の解明

肉用鶏ヒナをβ2アドレナリン受容体アゴニストで刺激すると、骨格筋のタンパク質分解量が抑制され、結果的に骨格筋量が増加することを見出しました(General and Comparative Endocrinology 206, 111-117. 2014)。加えて、β2アドレナリン受容体の活性化が転写因子FOXO1の核外への局在変化を誘導することを明らかにしました(Bioscience Biotechnology and Biochemistry 80, 1499-1504. 2016)。また、孵化直後のβ2アドレナリン受容体アゴニストでの刺激は、成長後の腹腔内脂肪の蓄積を著しく減少させることを発見しました(General and Comparative Endocrinology 211, 9-13. 2015; Animal Science Journal. 87 (10), 1298-1303. 2016)。これらの成果の現場応用を目指した研究を進め、肉用鶏の体格(骨格筋収量)の個体差と骨格筋のβ2アドレナリン受容体の発現量との相関を明らかにしました(General and Comparative Endocrinology 267, 45-50. 2018)。

骨格筋と脂肪組織におけるβ2アドレナリン受容体の作用機序の解明

Bioscience Biotechnology and Biochemistry 80, 1499-1504. 2016(https://doi.org/10.1080/09168451.2016.1158629)

ニワトリ脂肪細胞におけるインスリン応答性のグルコース取込み機構の研究

哺乳類では、グルコース輸送体(GLUT)であるGLUT4がインスリンに応答して細胞膜上に移行し、グルコースを取込みます。ニワトリも哺乳類同様にインスリンに応答してグルコースを脂肪組織や骨格筋組織へ取り込みます。しかしながら、ニワトリを含む鳥類では、GLUT4が欠損しいるため、インスリン応答性のGLUTは同定されていません。ニワトリ初代培養脂肪細胞を用いて、短時間のインスリン刺激に応答し、グルコース取込みに関わるGLUTを調べた結果、インスリン刺激に対してAKTのリン酸化を介して細胞膜上でのGLUT1のタンパク質量が増加し、グルコース取り込みが増加することを明らかにしました(General and Comparative Endocrinology in press. https://doi.org/10.1016/j.ygcen.2019.113232)。

ニワトリ脂肪細胞におけるインスリン応答性のグルコース取込み機構の研究

General and Comparative Endocrinology(https://doi.org/10.1016/j.ygcen.2019.113232)